交通安全の取り組みは企業責任!企業がすべき3つのこと

過労運転や飲酒運転などで社員が交通事故を起こすと、企業責任を問われニュースなどでも大々的に報道されてしまうことは周知の事実ですね。

勤務中の交通事故の場合、企業にも賠償責任が発生し、企業イメージも失墜してしまうなど様々なリスクが伴います。

企業が交通安全につとめることは、企業の責任であるといわれる現代社会。

企業が社員の交通事故を防止するためにできることはなんでしょうか。

「安全運転で!」と伝えるだけでは企業努力としては足りませんよ。

このコラムでは、「企業の交通安全」に向けて企業がすべき3つのことについて解説してみたいと思います!

第一歩は現状把握から!企業の現状を確認しよう

何事も初めの一歩は現状把握。まずは社員の運転頻度や車両の状況を把握しましょう。

企業によって運転の実態は様々です。

運転担当がいますか。ペーパードライバーがどきどきしながら運転するのでしょうか。

安全運転管理者や運行管理者はいますか。

車両の点検は行われていますか。

上司が部下の運転前に体調確認や声掛けをする光景はみられますか。

運転前後のアルコールチェックは実施されていますか。

実態に即した「交通安全」を行うために、まずは現状把握に努めて下さい。

大きなチェックポイントは以下の5つ。

  • いつ・どこで・だれが・なんの目的で運転するのか
  • 運転する時間帯や通行する道路はいつも同じか、予測不能か
  • 運転者に対して飲酒状況のチェックが徹底されているか
  • 過労運転にならないための対策が取られているか
  • 車両の管理や安全運転の指導を行う担当者が決まっているか、実際に行われているか

まずは贔屓目を取り払って、冷静に現状を見て下さい。

意識して客観的に見るだけでも、問題点が発見できたり改善点が見えてきたりするものです。

できれば他部署の人間が複数人集まって、多くの目で見た現状について意見交換できると良いですね。

事故のリスクはどこに潜む?知ることで深まる交通安全への理解

現状が把握できたら、次は事故のリスクがどこに潜んでいるのかを知りましょう。

実際の交通事故事例について理解しておくと、先述のチェックポイント①や②と照らし合わせ、自社にとって事故リスクが高いシーンを具体的にイメージすることができます。

具体的な事故事例をいくつかお伝えしますので、会社の実情と照らし合わせてみて下さい。

事例1 交差点の右直事故

交通事故が最も発生しやすい場所は交差点です。

交差点は直進車・右左折車・バイク・自転車・歩行者が入り乱れる危険地帯。

その中でも重傷・死亡事故になりやすいのが、「右直事故」と呼ばれる事故です。

警視庁発表の交通安全情報でも、注意を呼びかけています。

≪直進のオートバイと右折車の衝突によるしています。

右直事故は、オートバイは対向車からは小さく見え、実際よりも遠くに、またスピードも遅く錯覚され

ることが大きな発生原因と考えられます≫

警視庁交通安全情報より引用

交差点で右折する四輪車と直進するオートバイが衝突する事故なので、『右折』と『直進』の頭文字をとって『右直事故』と呼ばれています。

どのような事故なのか、解説します。

交差点で右折しようとする時、対向直進車線にバイクがいる場面をイメージして下さい。

バイクは四輪車と比べると小さい乗り物ですね。そのため人間の目は四輪車とバイクを無意識に比較してしまい、目の錯覚が発生します。

バイクが実際より遠くにいるように、またスピードも実際より遅く走っているように錯覚するため、四輪車の運転手は実際には曲がれないタイミングなのに、「バイクが来る前に曲がれる」と勘違いしてしまうのです。

こうして四輪車は右折を開始しますが、まさか車がこのタイミングで曲がるとは思っていないバイクのライダーは、直進優先の原則でスピードを出しています。

こうして右折する四輪車と直進するバイクが衝突し、重大事故となってしまうのです。

また片側二車線以上の大きな交差点だと、右折前や渋滞で一時停止する車の陰に隠れ、直進してくるバイクが見えなくなる「死角」も発生します。

大きな交差点で右折するときは、死角の陰から飛び出すバイクがいるかもしれないことを意識しましょう。

この右直事故を防ぐには、「バイクは実際より遠く、遅く見える」という錯覚を知り「死角から飛び出す危険」を注意して見ることが重要です。

いつも大丈夫だから今日も安全だろうという「だろう運転」から脱却し、危険があるかもしれないと思いながら慎重に運転する「かもしれない運転」を意識してみて下さい。

事例2 裏道・生活道路での事故

最近の交通死亡事故で最も多い年齢層は、65歳以上の高齢者層です。

高齢者が横断歩道を渡る際に信号無視をする、青信号のうちに渡り切れない、横断歩道まで行くのがおっくうで道路を横断するなどして交通事故になる事例が後を絶ちません。

こうした高齢者死亡事故の増加を受け様々な注意喚起が行われていますが、いまだ数多くの事故が発生しているのが現状です。

また子供の道路飛び出しも多いです。子供は突然飛び出す上に身体も小さいので、発見や対応が遅れる危険性も高いといえます。

身体の小さく車の死角に隠れてしまう事故事例や、自転車で交差点から飛び出す事故事例も多く、注意が必要です。

こうした歩行者や自転車の飛び出し事故を防ぐために、特に裏道や生活道路を通行する際は注意深く運転する必用があります。

「横断歩道でない場所を横断する人もいる」ことや「信号無視をする人もいる」こと、「死角から人や自転車が飛び出す」危険などを念頭においた運転をしなければいけません。

周囲の状況をよく見ながら、裏道や生活道路ではすぐに止まれる速度で運転するようにして下さい。

事例1と同様に、「かもしれない運転」で危険を予測しながら安全な速度で走行しましょう。

事例3 高速道路での事故

高速道路では、追突事故の危険性を意識した運転をしましょう。

前を見ていなかった、前の車が止まると思わなかったなどが原因の追突事故は、後方車両の責任が重く取られる事故事例です。

車間距離が十分に取れていれば事故を防げるのですが、特に高速道路は速度が速いため車間距離が測りにくいことが多いですよね。

そこで、カンや経験則に頼らない安全な車間距離の取り方をご紹介しましょう。

安全な車間距離は速度によって変わりますが、スピードに関係なく「前の車が通過してから2秒」の車間距離が安全な距離と言われています。

以下は警視庁公式ホームページ高速道路を利用する皆様へ 警視庁からの引用です。

≪実験結果と統計的事実から車間距離は2秒が適切だとされています。
スピードに関係なく、前車がある地点(高速道路では、路面のジョイント、照明灯などを目標に)を通過してから2秒経ってそこに行けば適切な時間を空けて走行していることになります。
車間距離は空ければよいわけではなく、4秒空けると割り込んで来て、かえって危険です。そこで2秒が適切と言うわけです。
2秒の計り方ですが、ゆっくりと01(ゼロイチ)、02(ゼロニ)と唱えてください。ゼロを付けないと早すぎてしまいます。人間は客観的に距離判断をすることは難しい。時間間隔なら少し練習すれば誰でも客観的な測定ができます。
車間距離を取れと言うより車間時間で間隔を取るようにしてはどうでしょうか。≫

前の車が目印地点を通過してから「ゼロイチ、ゼロニ」とゆっくりカウントする。

この方法なら、だれでも簡単にできますね。ぜひ今日から実践してみて下さい。

事例4 敷地から道路に出入りする際の事故

筆者の過去の体感で、多いなと感じたのがこの駐車場や敷地に出入りする際の事故です。

例えばひと仕事終えて帰社する時、ちょっとコンビニに立ち寄る時などの道路から敷地に入る時をイメージして下さい。

運転も一息ついてふっと気がゆるみませんか。その気のゆるみ、要注意です。

敷地に出入りする際は歩道を横切ることになりますね。

歩道侵入前に一時停止して左右を確認することが一番大切で、皆さんも実行していることと思います。

その安全確認時に忘れないでほしいのが、危険はひとつとは限らないこと。

右から来る歩行者が通り過ぎるのを待ってから発進したら、いつの間にか左から自転車が来ていて自転車とぶつかってしまうといった事故事例が多くあります。

最初に発見した歩行者に気をとられていたため、次に逆から来た自転車に気が付かなかったというパターンで、特に歩道の通行量が多い都市部や繁華街でよくある事故です。

危険は次から次へと発生します。

真実はいつもひとつ!と某名探偵は叫んでいますが、危険はいつもひとつではないということを、運転中は忘れてはいけません。

エンジンを止めるその時まで、気を抜かずに運転しましょう。

よくある事故の事例を4つほどご紹介しました。

もちろん他にもいろいろな交通事故がありますので、是非一度お近くの警察署に問い合わせたりして「自分にとって身近で具体的な交通事故」について考えてみて下さい。

交通事故は他人事でないと意識を持って、事故防止に努めましょう。

交通安全の取り組みは企業責任!安全運転管理者を指定しよう

企業にとって最もリスクが高く、防ぐべき交通事故とはなにか。

やはり飲酒や過労などの要因が上乗せされている交通事故ではないでしょうか。

飲酒や過労が絡む交通事故が発生すると、企業責任が問われる事態に発展します。

社会の目は非常に厳しく、企業イメージは大きく損なわれることとなるでしょう。

企業として交通安全に取り組み、過労運転や飲酒運転がおきない仕組みを作るためには、担当者を設定した上で企業全体を通して交通安全に取り組むべきです。

社員ひとりひとりの心がけに任せていているようでは時代遅れ。いざという時に企業責任を果たしていたと胸を張ることはできません。

そこで、社内で「安全運転管理者」を指定してみてはいかがでしょうか。

安全運転管理者とは社有車の保守管理や社員への安全指導などを業務とする役職で、5台以上の社有車を保有している企業に指定の義務があるのですが、5台以下でも指定が可能です。

安全運転管理者は、企業の防波堤ともいえる交通安全のかなめとなる役職。

年に一度安全運転管理者へ向けた講習会もありますので、最新情報や注意点を学習する機会も得られます。

社員への安全教育も業務のひとつですので、先述した事故事例や企業に合わせた注意点などを社員へ伝えることができます。

そしてなにより、安全運転管理者の業務として過労運転対策やアルコールチェックがありますので、社員に対し確実に安全対策をとることができます。

安全運転管理者の業務については、過去コラムに詳しく記載していますので御覧ください。

企業幹部が目を光らせて!安全運転管理者が仕事をできる環境づくりを

安全運転管理者はとても大切な役職。しかし残念ながら、安全運転管理者が機能している企業とそうでない企業があるのが現実のところです。

安全運転管理者を指定する義務があるからとりあえず、と庶務や人事の職員に安全運転管理者を指定したものの、本業が多忙で安全運転管理なんてとてもできないという状況はよく見受けられます。

逆に安全運転管理者がしっかり機能している企業は、安全運転管理者の業務負担をしっかり幹部が把握しており、社員にも「この人が安全運転に関する責任者だな」と周知されています。

そういった企業は社内全体で交通安全に対する意識が高く、安全教育やアルコールチェックも徹底されていました。

「安全運転管理者が、安全運転管理者として業務を全うできる環境をつくる」

まずはここをスタート地点として、企業の交通安全について今一度見直してみませんか。

企業幹部が目を光らせて、安全運転管理者が活躍できる社内環境を構築して下さい。

安全運転管理者をリーダーに、企業全体で意識を高めよう

交通安全は単なる四字熟語ではありません。

社員ひとりひとりまで行き渡るように安全運転の意識を高めるには、とても時間がかかることでしょう。

アルコールチェックも安全指導も、本音では誰もが面倒くさいと感じています。

その「面倒くさい」から「必用なこと・大切なこと」に意識が切り替わるように、こつこつと意識改革を実行していくのが企業のつとめといえるのではないでしょうか。

最後に企業がすべき3つの交通安全をもう一度お伝えします。

  • 社内の実情を把握しましょう
  • 交通事故の現実を知りましょう
  • 安全運転管理者を指定して、安全運転管理者の環境を整えましょう

当社では、安全運転管理者様からのお問い合わせ受付や安全教育も実施しております。

交通事故のない社会を目指し、御社とともに歩むパートナーとして、是非当社をご利用下さい。

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さぁ今から、「手軽にアルコールチェックの自動化」始めましょう。