この後運転しなければいけない、でも宴会を楽しみたい!
そんな悩みを解消してくれるノンアルコール飲料。
昨今数多くのノンアルコール飲料が販売されていますね。
「ノンアルコール=絶対に飲酒運転にならない」と考えている方が大多数かと思いますが、
ノンアルコール飲料ならば絶対に飲酒運転にならないのでしょうか?
今回はノンアルコール飲料でも飲酒運転になる危険性とその注意点について解説していきます!
ノンアルコールビールを飲むことで「飲酒運転」に関するリスクを回避できると考える人が多いですが、その実態には注意が必要です。ノンアルの魅力は、ビールの味わいを楽しめる点にありますが、その背景には法律や健康に関するテーマが隠れています。特に、運転を控えるべきシチュエーションでは、ノンアルコールビールの選び方や飲み方に関してしっかりと理解しておくことが求められます。
ノンアルってどんな飲み物?ノンアルコール飲料の定義とは
ノンアルコール飲料とは、アルコール度数が「1%未満」の飲料、またはアルコール分を全く含まない飲料を指します。
ノンアルコール飲料は、お酒のような味や香りを楽しむことができ、ビールやサワーなどがあります。アルコール発酵を抑えたり、蒸留機でアルコール分を蒸留させるなど、製造に工夫が凝らされています。
ノンアルコール飲料の定義は、広義と狭義に分けられます
・広義:アルコール度数が1%未満の飲料
・狭義:アルコール度数が0.00%で、味わいが酒類に類似しており、満20歳以上の者の飲用を想定・推奨しているもの
酒税法ではアルコール度数1%以上のものを酒類と呼びます。
アルコール分が0.00%から0.99%までの飲料が法律上「ノンアルコール飲料」を名乗ることが出来ます。
つまり、完全にアルコールが入っていないものも、微量のアルコールを含むものも、どちらも「ノンアルコール」として販売されているということ。
最近では表記方法を「微アルコール」とするなどして区分している商品もありますが、ノンアル飲料を飲む際にはアルコール度数の表記に注意が必要です。
アルコール0.00%の商品でないと、知らないうちに微量のアルコールを摂取してしまうことに。
結果としてごく稀にですが、短時間に大量のノンアルコール飲料を飲んで酒気帯び運転に該当する量のアルコールが検知されてしまうことがあります。
そのため、完全にアルコールフリーの製品を選ぶことが重要です。製品ラベルを確認し、アルコール分0.00%と明記されているものを選びましょう。これは法律的には問題ないですが、体調や状況に応じて慎重な判断が求められます。特に妊婦や授乳中の方、アルコールに敏感な方は、ノンアルコールビールを選ぶ際には細心の注意を払いましょう。
また、法的にはアルコール飲料ではないため運転への影響はないとされていますが、人によってはプラシーボ効果が生じる可能性があります。自身の意識や反応に影響が出ることも考えられるため、運転前にノンアルコールビールを飲む際には自己判断を十分に行うことが大切です。
このように、ノンアルコールビールの選び方や飲み方に関する正しい知識を持つことは、運転を含む様々なシーンでの安全対策に繋がります。
微量でもアルコールが含まれていれば飲酒運転となり罰則の対象になる可能性がある
ノンアルコールビールに含まれるアルコールが微量であっても、これが飲酒運転に該当するリスクがあることは重要な認識です。
法律上、運転中に呼気から検出されるアルコール量が法律で定められた基準を超えると罰則を受けることになります。
仮にノンアルコール飲料を多数飲むことで経過した時間が短く、アルコール濃度が基準を超えることもあるため、飲んだ後の運転には慎重さが求められます。そのため、事前に製品の成分や特性をしっかり理解し、確認することが必要です。
ノンアルで飲酒運転?飲酒運転の内容と罰則を確認
ここで飲酒運転の内容と罰則について確認してみましょう。
警視庁ホームページに掲載されている飲酒運転についての行政処分と罰則についての記載を紹介します。
飲酒運転とは「酒酔い運転」と「酒気帯び運転」に分けられ、それぞれの内容は以下のとおり。
≪行政処分≫
酒酔い運転(※1)
- 基礎点数 35点
免許取消し 欠格期間3年(※2,3)
酒気帯び運転
- 呼気中アルコール濃度0.15mg/l 以上 0.25mg/l 未満
基礎点数 13点
免許停止 期間90日(※2) - 呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上
基礎点数 25点
免許取消し 欠格期間2年(※2,3)
(※1) 「酒酔い」とはアルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態をいう。
(※2) 前歴及びその他の累積点数がない場合
(※3) 「欠格期間」とは運転免許の取消処分を受けた者が運転免許を再度取得することができない期間
≪罰則≫
車両等を運転した者
- 酒酔い運転をした場合
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金 - 酒気帯び運転をした場合
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
(参考:警視庁HP https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/info.html)
この内容からわかる通り、道路交通法における「酒酔い運転」は呼気中アルコール濃度についての要件はなく、「アルコールの影響により車両等の正常な運転ができないおそれがある状態」のことをいいます。
例えば呂律がまわっていない・直立して立てない・まっすぐ歩けない・言動が不明瞭などの状態のことですね。
「酒酔い」は運転操作や危険認知能力が著しく欠如した状態なので、車両を運転すれば事故の危険が非常に高まることは明らか。
もちろん罰則も大変厳しく、5年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。
一方で酒気帯び運転には基準数値が明確に定められています。
呼気中アルコール濃度の違いで
・呼気中アルコール濃度0.15mg/l 以上 0.25mg/l 未満
・呼気中アルコール濃度0.25mg/l以上
の2段階に分けられており、どちらも罰則は「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですが、行政処分の処分内容に差があることがわかります。
さて、今回このコラムで注目するのは「呼気中アルコール濃度0.15mg/l」という数値です。
この酒気帯び運転は「アルコール飲料を飲んで」「数値が0.15㎎/l」と規定されているわけではなく、ただ「0・15mg/l」と定められているのみ。
つまり飲んだのがノンアルコール飲料であっても、微量のアルコールが含まれているものを大量に摂取してしまい数値が0.15mg/lに到達してしまえば、酒気帯び運転になってしまうということです。
ノンアルコール飲料とはいえ、商品のアルコールの濃度が0.00%なのかアルコールを微量に含むものなのか、よく確認が必要。
アルコール度数は商品に明記されているので、口をつける前に注意して見るようにしましょう。
お店でノンアルコール商品を注文する場合は、お店の方に商品名を聞いてインターネットで検索するなど工夫してみて下さい。
完全にノンアルコールでも酔っぱらう?脳の錯覚「空酔い」に要注意
もうひとつ、ノンアルコール飲料を楽しむ時に注意してほしいのが「空酔い」という現象。
これは完全に0.00%のノンアルコール飲料を飲んでいるのに、お酒に似た味わいであることやその場の雰囲気が原因で脳が「お酒を飲んだ」と勘違いしてしまう現象です。
体内のアルコール濃度は0.00%なのにも関わらず、顔や身体がほてってきたり、呂律がまわらなくなってきたり。不思議なことですが酔っている時のような状態になってしまうことがあるのです。
このような状態になってしまったら、運転は危険ですね。
「空酔い」をよく理解しておき、空酔い状態になったら運転をしないようにして下さい。
ノンアルコールビール(飲料)を飲んだ後に運転してもいいの?
0.00%のノンアルコール飲料ならば飲酒運転にならないことはここまで記述したとおりです。
よって0.00%のノンアルコール飲料を飲みながら運転しても、法律上問題はありません。
ただ…元警察官の筆者としては、あまりおすすめはできません。
理由は「職務質問を受けやすくなる」から。
元警察官としていえることですが、ドリンクホルダーにお酒風の缶を見かけたら警察官にとって間違いなく職務質問の対象車両。
動いているからわからないと思うかもしれませんが、赤信号で停車中の車内などを警察官はさりげなく見ているものなのです。
さすがに車両の外から見かけただけでノンアルか酒か判断するのは難しく、停止を求めて職務質問するのは当然の流れ。
さらに付け加えると、本当に飲酒運転する人の中にはノンアルの缶に酒を入れ替えて飲んでいる悪い人もいます。
となると、職務質問が長引いてしまうことも想像できるのではないでしょうか。
もちろん法律上問題はないです。職務質問にも堂々としていれば良いでしょう。
ただ余計な時間をとられてしまうことにはなりますので、筆者は経験上ノンアルコールといえど飲みながら運転することはあまりおすすめできません。
警察官は声には出しませんが、思っています。紛らわしいことしないで、と…。
ノンアルコールビール(飲料)が必ず度数0とは限らない
ノンアルコールビールは名の通りアルコールが含まれていないと思われがちですが、実際には製品によって異なることを理解しておく必要があります。
日本では「ノンアルコール」とされる飲料でも、アルコール度数が0.5%以下の場合があり、これが意外なリスクを抱えています。
たとえば、ビールテイストの飲み物でも、商品によっては小数点以下のアルコールが含まれているため、注意が必要です。
運転前に確認せずに飲んでしまうと、法的な基準を超える可能性もあるため、選ぶ際は成分表示を確認した方が安全です。
本当にアルコールが0なのか確認する
ノンアルコールビールを選ぶ際の最も重要なポイントは、アルコール度数が本当にゼロかどうかを確かめることです。製品によっては、ノンアルと呼ばれていても微量のアルコールを含むことがあるため、注意が必要です。
アルコールが0.00%と明記されている商品であれば、安心して楽しめますが、他の製品では0.1%から0.5%の範囲のアルコールが含まれていることもあるため、表示をしっかりと確認することが勧められます。
この一手間で、運転の際に不安を抱えるリスクを減らすことができるのです。
居酒屋などでノンアルコール飲料を飲む場合は店員に確認する
居酒屋や飲食店でノンアルコール飲料を楽しむ際には、店員に商品の内容を確認することが重要です。
料理と共に比べると、ノンアルでも意外とアルコール度数が高い商品があるかもしれません。
特に、居酒屋では様々なブランドのノンアルコールが提供されているため、事前にどのような商品があるかを把握しておくと安心です。また、店員からの情報を元に、自分に合った選択を行えます。飲む前に少しでも不明点があれば、確認することが大切です。
ノンアルコール飲料はアルコール度数を確認して飲もう!0.00%商品をご紹介
ここまで注意点を述べてきましたが、ノンアルコール飲料は運転する予定があるけれど宴席の場でお酒の気分を楽しみたい人にとっての強い味方です。
うっかりアルコールを摂取してしまわないよう0・00%の商品かをよく確認すれば、飲酒運転になる心配をせずに酒席を楽しむことができますね。
ここからは飲酒運転にならず安心して楽しめる、アルコール度数0・00%の日本商品をいくつか紹介します。
「ビールのうまさにこだわる人のAlc.0.00%」と謳うこちらの商品は、ジャパン・フード・セレクションでグランプリを受賞した経歴を持つ一品。
「ブリューゼロ製法」という独自製法でつくられた、一口で違いがわかるアルコールゼロ。
本当にビールに近いノンアルを目指して作られたキリンゼロイチ。
キリン独自の一番搾り製法に加えて、甘味料と着色料もゼロの「麒麟の傑作」です。
アルコールゼロなだけでなく、カロリー・糖類・プリン体もゼロ。
「からだを想うオールフリー」と広告される通り、ローズヒップ由来ティリロサイドが内臓脂肪を減らしてくれる嬉しい商品です。
お酒好きな人の休肝日に、ビールにぴったりの食事とも相性抜群の商品。
「コク、ウマ」の味わいが自慢のノンアルコールです。
以上の商品はあくまでも一例。この他にもたくさんの種類のノンアルコール飲料が販売されていました。
調べてみて実感しましたが、0.00%ノンアルコール飲料には特に目立つように「0.00」の文字が記載されています。
「0.00」の記載がないものを避けるようにすれば、うっかりアルコールを摂取してしまう事態は回避できます。
お好みの商品をチョイスして、ノンアルコールを楽しんでみて下さいね。
運転前はノンアルで!運転前でも乾杯できるノンアルコールで楽しいひと時
筆者もこのコラム作成のためにノンアルコール飲料を買って飲んでみましたが、驚くほどおいしくてびっくり。
何年か前に飲んだ記憶と比べてもビールの味わいにそっくりになっていて、言われないとわからないかもしれないなと感じました。
日本のアルコール販売各社が、努力を重ねてどんどん進化しているのですね。
もちろんドライバーのためだけの商品ではなく、飲酒を控える妊娠中の方やお酒に弱い体質の方もお酒の味わいを楽しめるノンアルコール飲料。
様々な事情でお酒を飲めない人がいますが、みんなで宴席を楽しむことはできるのです。
「乗るなら飲むな、飲むなら乗るな」は絶対。飲酒運転は許されません。
それでも運転前の宴席を楽しみたい・お酒の気分を味わいたい方は、注意点をよく理解した上でノンアルコール飲料を楽しんでみてはいかがですか。お酒を飲まなくても、楽しいひとときを過ごすことができます。
そして、自分の判断だけではアルコールの影響を見逃してしまう可能性があるため、アルコールチェッカーを使用することで、より確実に安全を確認できます。
このありがたい商品の力をかりて、みんなで飲酒運転が根絶される未来を目指したいですね。
ライター紹介:いのともみ
元警察官。半年前まで都内警察署で勤務。在職中は交通部門で働いた経験が10年近くあり、退職後はWebライターとして飲酒運転防止、安全運転教育などの執筆をおこなっている。