アルコールチェッカーによる測定は、飲酒運転を未然に防ぐために重要であり、アルコールチェック義務化に伴い、多くの企業で実施が進められています。
さて、このアルコールチェッカーですが、実は「飲酒していない」にも関わらずアルコールが検知されてしまう「誤反応」が起こることがあります。
誤反応によって数値が検出されてしまうと、飲酒していないのに「車を動かせない」といったように業務の進行を妨げてしまうケースがあり、企業にとって悩みの種となっています。
この誤反応の原因はいくつか考えられますが、じつは意外なものが反応の原因となることもあります。
本記事では、アルコールチェッカーが誤反応する原因と、正確な測定を行うための使い方のポイントについて詳しく解説します。
目次 / このページでわかること
飲酒をしていないのにアルコールが検知される理由
飲酒をしていないにも関わらずアルコールチェッカーが反応を示す原因は、いくつか考えられます。まず、アルコールチェッカー自体の問題として、測定精度やセンサーの寿命が影響する場合があります。長期間使用しているとセンサーが劣化し、正確な測定ができなくなることがあります。
また、体質によって体内で生成されるケトン体をアルコールとして検知してしまうケースや、食べ物や飲み物、口腔ケア用品、喫煙などが原因で口内に残った成分に反応することもあり、これらの要因が誤検知につながることがあります。
次の項目では、実際にどのようなものがアルコールチェッカーに反応するかについて詳しく紹介していきます。
意外なモノに反応している?アルコール成分を検知しやすいアイテムを紹介

アルコールチェッカーは、飲酒していなくても様々な日常のアイテムに反応することがあります。この項目では誤反応が起こりやすいものを詳しくご紹介します。
発酵食品やエナジードリンク
発酵食品である蒸しパン、味噌、キムチなどは、製造過程でアルコールが生成されるため、食べた直後に検知器が反応する可能性があります。
また、ノンアルコール飲料と表示されていても微量のアルコールが含まれている製品があり、これらを摂取した場合も反応が出ることがあります。栄養ドリンクや一部のエナジードリンクにもアルコールが含まれていることがあるため注意が必要です。
口腔ケア用品や医薬品
さらに、医薬品や口腔ケア用品も反応の原因となり得ます。歯磨き粉、うがい薬、のどスプレー、マウスウォッシュといった口腔ケア用品も、成分が口内に残っているとアルコールとして検知されることがあります。
また喫煙も影響を与え、タバコの煙に含まれる一酸化炭素が反応の原因となることがあります。電子タバコのリキッド成分も誤検知を招く可能性があります。
ケトン体
体質や体調も影響する要因です。糖質制限をしている方や長期間の断食を行っている方、あるいは体質的にケトン体が高い方は、体内で生成されるケトン体をアルコールチェッカーが検知してしまうことがあります。これは飲酒によるものではありませんが、アルコール反応として表示されることがあります。
消毒液や芳香剤
アルコールチェッカーは、アルコール成分を含む消毒液や芳香剤などの影響を受けることもあります。これらの製品が近くにある環境で測定すると、空気中に漂うアルコール成分をセンサーが検知し、誤った測定結果が表示される可能性があるため、測定場所の環境には十分な配慮が必要です。
アルコールチェッカーを使用する際の4つの注意点

アルコールチェッカーを使って酒気帯びの有無を正確に測定するためには、使用時にいくつか注意すべきポイントがあります。
以下にポイントをまとめたので、こちらを確認して誤検知を回避しましょう。
1. 測定前にうがいをする
アルコールチェッカーで正確な測定を行うためには、測定の前にうがいをして口内をきれいな状態にすることが推奨されます。
口内に食べ物や飲み物の残留物、あるいはタバコの煙などが残っていると、アルコール成分として検知され、誤った結果につながる可能性があるためです。特にニオイが残りやすい飲食物や喫煙後は、念入りにうがいをしましょう。
2. 測定前の発酵食品やエナジードリンクの摂取を控える
うがいだけでなく、測定前の飲食に注意が必要です。特に、蒸しパン、キムチや味噌などの発酵食品は微量のアルコールを含むことがあります。
また、ノンアルコール飲料やエナジードリンクの中にも微量のアルコールが含まれている製品があるため、摂取には注意しましょう。これらの飲食物を摂取した直後に測定すると誤検知につながることがあるため、測定前は控えることを推奨します。
3. 測定前に口腔ケア用品の使用や喫煙をしない
アルコールチェックを行う前に、口腔ケア用品の使用や喫煙は避けるのが無難です。歯磨き粉やマウスウォッシュにはアルコール成分が含まれている場合があり、アルコールチェッカーがこれに反応することがあります。
また、喫煙によって口内に残る一酸化炭素も、アルコールチェックの際に影響を与える可能性があります。正確な測定結果を得るためには、これらの使用・喫煙から時間を置いてから測定することが推奨されます。
4. 持続的にしっかりと息を吹き込む
アルコールチェッカーは、呼気中のアルコール濃度を測定する機器なので、正確な測定結果を得るためには、正しい方法で息を吹き込むことも非常に重要です。機器の種類によって吹き込み方が異なる場合があるため、必ず取扱説明書を確認しましょう。
一般的には、測定終了の合図があるまで、数秒間一定の強さで息を吹き込み続ける必要があります。息の量が少なかったり、弱すぎたりすると、正しく測定できない可能性があります。
【大切】微量のアルコールに反応しているのはむしろOK
正確なアルコールチェッカーを使用している場合、蒸しパンや発酵食品、消毒液やマウスウォッシュなどに反応して数値が出ることがよくあります。
このとき、アルコールチェッカーは食事等に含まれる微量のアルコールを正確に検知しているということなので、問題ありません。むしろ精度が高く、信頼できるアルコールチェッカーと言えるでしょう。
このような場合では、使用前のうがい等の対策によって問題なく使用できます。
しかし、もしタバコの煙や芳香剤などアルコールではないガス成分に反応しているとしたら、それは問題です。半導体式センサーなど安価なセンサーでは、アルコール以外の成分に反応してしまい、このような「誤検知」を起こすことがあります。
それでもアルコールチェッカーが反応しない場合の対応策

上記のような対策を講じてもアルコールチェッカーが反応しない場合は、いくつかの原因が考えられます。アルコールチェッカー自体の故障やセンサーの劣化の可能性があるため、使用している検知器の状態をよく確認しましょう。
機器の使用期限を確認する
アルコールチェッカーが誤検知を繰り返す場合、機器自体の問題が考えられます。アルコールチェッカーには寿命があり、センサーの劣化などにより正確な測定ができなくなることがあります。
使用している機器の取扱説明書を確認し、使用期限や測定回数の上限を超えていないか確認しましょう。有効期限切れのアルコールチェッカーは、正確なアルコール検知ができない可能性があるため、新しいものへの買い替えを検討する必要があります。
メーカーに問い合わせる
ここまでにご案内した方法を試してもアルコールチェッカーの反応に異常が見られる場合は、メーカーに問い合わせることを検討しましょう。アルコールチェッカーは精密機器であり、センサーに水分が浸入したり、長期間の使用による劣化、初期不良などが原因で故障することがあります。特に水濡れなどが原因で正確な測定ができない場合は、専門家であるメーカーに相談することをおすすめします。メーカーのサポート窓口に連絡し、状況を具体的に伝えて指示を仰ぎましょう。
アルコールチェッカーを別の機器に変更する
安価なアルコールチェッカーなどでは、そもそも検知器の測定精度が良くない場合もあります。そのようなアルコールチェッカーを使用している場合は、業務の進行を妨げるだけでなく、飲酒事故のリスクをにもつながるため、アルコールチェッカーを別の機器に変更する必要があります。次の項目では「誤反応」に悩まされないアルコールチェッカーの選び方のポイントを解説していきます。
アルコールチェッカーを選ぶ際のポイント
アルコールチェッカーは、製品によって測定精度が大きく変わります。誤反応やエラーのストレスに悩まされない、正確なアルコールチェッカーを選ぶためには、いくつかの重要なポイントをチェックすることが大切です。特にセンサーの種類と測定方式に注目し、業務用に適したアルコールチェッカーを選びましょう。
アルコールチェックの精度を検証する
アルコールチェッカーの精度は、内蔵されているセンサーの種類によって大きく異なります。主に半導体式と燃料電池式(電気化学式)があり、それぞれ測定の仕組みと特徴が異なります。
半導体式は安価な製品が多いですが、アルコール以外の物質にも反応しやすいため、外部の環境によって誤反応も起こりやすくなります。一方、燃料電池式センサーはアルコールへの反応に特化しているため測定精度が高く、業務用で一般的に使用されています。
燃料電池式センサーは、アルコールのみに正確に反応するため、消毒液やマウスウォッシュなどアルコールを微量に含むものに対しては、むしろ正確に検知し、飲酒していないのに反応を起こすことがあります。この場合は使用前のうがいなどの対策によって問題なく使用できるケースが多いです。
測定方式を確認する
アルコールチェッカーは、主に吹きかけ式、ストロー式、マウスピース式の3つの測定方式があります。吹きかけ式は手軽ですが、周囲の空気の影響を受けやすく、精度がばらつくことがあります。より精度の高い測定を求める場合は、呼気以外の影響を受けにくいストロー式やマウスピース式がおすすめです。
J-BAC認定機器であるか確認する
アルコールチェックの精度を重視する際には、J-BAC(アルコール検知器協議会)認定機器であるかを確認することが推奨されます。J-BACは、行政機関とも連携し、飲酒運転根絶を目指して活動している団体です。認定を受けるためには、独自の販売ガイドラインと技術要件の基準を満たし、必要な申請書類をすべて提出する必要があります。
J-BAC認定機器かどうかは、J-BACおよび販売メーカーのウェブサイトで確認できますので、機器選定の参考にしてみてください。
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まとめ|正しくアルコールチェッカーを使い正確な測定をしよう
アルコールチェッカーで正確な測定を行うためには、正しい使い方を理解することが重要です。また、信頼できる正確なアルコールチェッカーを使用することが、飲酒事故のリスクを防ぎ、ストレスなく業務を進行するのに最も大切です。