令和4年10月1日から施行された道路交通法の一部改正では、新たに安全運転管理者の関係規定が追加されました。
これまで以上に罰則が厳しくなり、業務を遂行するため安全運転管理者に対する権限が付与されたり、業務に必要な機材の整備が追加されたりしました。
このように、飲酒運転に対する罰則はどんどん厳罰化が進んでいます。
そこで今回は、安全運転管理者の関係規定で追加された内容の詳細を、海外の飲酒運転対策と比較しながら紹介します。
安全運転管理者の関係規定の追加内容とは
令和4年10月1日から、道路交通法の一部改正が施行となりました。
これまで以上に厳しい規定が追加されています。
主な追加内容は、次のとおりです。
- 自動車の使用者は、安全運転管理者として業務を行うために必要な機材を整備すること
- 選任義務違反等に対する罰則の引き上げ
使用者とは、自動車の運行・利用について決定権を有する者のことです。
通常は雇用主などを指しますが、使用者には業務の運行を行うための機材の整備が要求されています。
この必要な機材とは、アルコール検知器などを想定しています。
当初予定されていた、酒気帯びの有無の確認や検知器を常時携帯することを義務化する点については当面延期となりました。
【2023年12月施行】検知器によるアルコールチェックが義務化されました。
しかし、飲酒運転を防ぐためにも、アルコールチェッカーの購入や利用するための仕組み作りは必要です。
また、罰金が大きく引き上げられています。
いままでは5万円以下の罰金でしたが、今回の改正により50万円以下の罰金に変更となりました。
海外の飲酒運転の罰則規定は本当に厳しいのか
今回の改定内容を見ると、かなり厳罰化が進んでいるように感じます。
しかし、世界と比較してみると、世界の方が飲酒運転に対する処罰は厳しいです。
以下に、各国の罰則規定をまとめてみました。
国名 | 罰則内容 |
---|---|
韓国 | 最大3年以下の懲役 100万円程度の罰金 |
ブルガリア | 3年以下の懲役 |
デンマーク | 自動車の没収・免許はく奪 月収1か月程度の罰金 |
アメリカ(カリフォルニア) | 免許停止や免許の取り上げ |
フィンランド | 重労働をともなう1年間の懲役 |
このように見ていくと、日本よりも罰則の厳しい国や都市が多くあることがわかります。
またカリフォルニアでは、飲酒運転はアルコール依存症との関連性が高いと考えられており、更生のための教育プログラム(DUIプログラム)が整備されています。
グループワークやカウンセリングなどを受け、飲酒運転をしてしまうライフスタイルから変えていこうとする仕組みです。
もちろん、どの国も初犯と再犯で多少の軽重はありますが、その罰則規定の重さから「飲酒運転は絶対にしてはいけない」という強い意識が見てとれます。
アルコール検知器による安全運転管理者のチェック体制構築は早急に
現行では、アルコールチェックが必要な企業であっても、検知器の導入や仕組みが浸透するまで、当面の間チェックの義務化は延期となりました。
【2023年12月施行】検知器によるアルコールチェックが義務化されました。
しかし、酒気帯び確認の有無は、安全に業務をおこない、飲酒運転を防止するためには非常に重要です。
そのため、たとえ義務化されていなくても、すでにアルコールチェッカーの導入が完了している企業においては、使用することをお勧めします。
仮に、まだ体制が整っていない企業であっても、目視による確認などは義務つけられています。
できるだけ早急に、アルコールチェッカー導入を検討してください。
もちろん、こういった仕組み作りや検知器の導入にはコストや労力がかかります。
しかし、トップダウンで飲酒運転は絶対にしてはいけない、という強い意思表示をし、そういった体制作りをおこなうことで、従業員にも意識付けをすることが可能です。
同時に、社会に対しても「この企業は、飲酒運転に対して厳しく対応している」という安心感を与え、信頼を得られるのです。
飲酒運転による事故は、1度起こすと多くの人に被害を与えてしまいます。
アルコール検知器によるチェックはそれを防ぎ、従業員が万全の態勢で業務をおこなえるようにするために必要です。
少しの可能性も見落とさず、飲酒事故が起こらないように防ぐ。
これは当たり前のことです。
「飲酒運転をしない・させない」という強い気持ちを企業全体で共有してください。
安全運転管理者の関係規定追加が10月1日から施行の「まとめ」
令和4年10月1日から施行された安全運転管理者の関係規定と海外との罰則規定の比較などを解説しましたが、いかがでしたでしょうか。
世界各国の飲酒運転に対する罰則は、かなり進んでいることがわかりました。
一方、日本での罰則規定は厳しくなっているとは言え、世界と比較すると緩いのではないでしょうか。
これは、飲酒運転を撲滅したいという願いと企業に対する負担への配慮などの表れかもしれません。
しかし、企業として従業員の安全な運行業務を推進することは義務と言えます。
さらに、
「うちはしっかりと法を守り、飲酒運転をなくすための努力をしている」とアピールすることで、社会に対する信用も高まります。
これらの対策に、アルコール検知器の導入は大変有効です。
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