【元警察官】が解説!アルコールチェックはいつやる?深夜の連絡は?罰則は?

現場大混乱!アルコールチェック義務化の黎明期を経て公開されたQ&A

令和4年4月1日から安全運転管理者に運転者のアルコール有無を確認する義務が追加され、令和5年12月1日からアルコール検知器を使用したアルコールチェックが義務化されましたね。
安全運転管理者の皆様はこの法改正にあわせて社内規定を作成するために奔走されたことでしょう。
法改正当初は大まかなルールは公表されたものの細かい部分はわからないことが多く、混乱された方も多いと思います。
道路交通法は時代背景に合わせて法改正がされていく「生きている法律」と言われており、実は法改正直後は警察も法適用について手探り状態。
数多くの問い合わせ内容やパブリックコメント・アンケート結果を受けて、最近やっと各警察の公式ホームページに「アルコールテック義務化に関するQ&A」が提示されるようになりました。

筆者はこの法改正時は警察署勤務の警察官として安全運転管理者様からの問い合わせを受け、交通課本部に電話して教えてもらいながらひとつひとつ回答するという現場の仕事をしておりました。
そこで多く問い合わせを受けた疑問点を、このコラムで解決していきたいと思います。
是非参考にして下さいね。

なお、本コラムは以下警察の公式ホームページを参照しています。
企業所在地を管轄する警察の公式ホームページは、一度確認してみると良いですよ。
警視庁公開通達
警視庁QA
神奈川県警
千葉県警
埼玉県警qa

アルコールチェックはいつやるの?安全運転管理者はずっと社内待機?

アルコールチェックが必要な「運転の前後」についての疑問ですね。
「安全運転管理者は出発時のアルコールチェックのために、ずっと社内待機して全員を見送らなければいけないのでしょうか…?」という質問を受けたことがありましたが、その必要はありません。

警視庁公開の通達には
≪「運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者」における「運転」とは、一連の業務としての運転をいうことから、 同号に定める酒気帯びの有無の確認(以下「酒気帯び確認」という。)は、必ずしも個々の運転の直前又は直後にその都度行わなければならないものではなく、運転を含む業務の開始前や出勤時及び終了後や退勤時に行うことで足りる≫と明記されています。
つまり出勤や退勤などのタイミングでアルコールチェックを行えばよいので、社員の出入りをずっと待ち続ける必要はありません。

また、「一連の業務」と規定されているので、午前中に出勤して一度退社した後にもう一度出勤した場合は一連の業務とはみなされず、再度出勤時の運転前アルコールチェックをする必要があると解されています。

早朝・深夜のアルコールチェックの確認はどうすればいいの?

筆者の体感としては、この質問が圧倒的に多かったです。
早朝出勤や退勤が深夜になる場合(皆様お疲れ様です…お体大切にして下さい)、退勤時の連絡を受ける安全運転管理者の負担が増えてつらいですよね。

よくある質問として、
「動画で撮影して残しておいて、翌朝確認でもいいですか?」
「クラウド管理しているので退勤時の確認は省略してもいいですか?」
といった問い合わせを受けましたが、残念ながらこれらはNGです。

この法改正の根幹には「人が五感を使って運転者のアルコールを覚知してください、アルコールチェッカーは人間の補助をするものして活用しましょう」という理念があります。
あくまでも「人対人」での確認が必要と理解して下さい。
そのためにリモートでの確認でもクラウドや録画に任せず直接会話をするように、と警察では指導しています。
直行直帰などでのリモート確認方法は後述しますので、そちらをご覧ください。

目視や電話による確認の必要性

安全運転管理者だけで頑張らないで!補助者を指定して負担を軽減しよう

では安全運転管理者は、社員からの終了連絡をずっと待っていなければいけないのでしょうか?
実際に「退社後も毎日携帯を握りしめて生活していて、疲れ果てました…」という安全運転管理者様のお話を聞いたことがあります。

そんな負担を抱える必要はありません!
副安全運転管理者や業務の補助者を指定して、負担を軽減してください。

副安全運転管理者・補助者とは?
警視庁Q&A参考
Q6安全運転管理者以外の者が酒気帯びの有無の確認をすることは認められていますか?

≪安全運転管理者の不在時など安全運転管理者による確認が困難である場合には、 安全運転管理者が、副安全運転管理者又は安全運転管理者の業務を補助する者(以下「補助者」といいます。)に、酒気帯びの有無の確認を行わせることは差し支えありません。
運転者に対する酒気帯びの有無の確認は、業務委託であっても差し支えありませんが、例えば、運転者が酒気を帯びていることを補助者が確認した場合には、安全運転管理者へ速やかに報告し、必要な対応等について指示を受けたり、安全運転管理者自らが運転者に対して運転中止の指示を行ったりするなど、安全運転を確保するために必要な対応が確実にとられることが必要となります≫と記載されています。

少し漢字の多い言い回しなので、かみ砕いて説明します。
つまり、安全運転管理者はアルコールチェックのためにあらかじめ「補助者」を決めておき、その方に退勤時のアルコールチェックをお願いしてOKということです。

ちなみに、安全運転管理者の業務を補助する副安全運転管理者は、管理する車両台数が20台以上の会社に選任の義務があり管轄の警察署に届け出なければいけません。
一方で補助者は届け出の必要はありませんし、指定にあたっての細かな規定はありません。

よって、補助者は一緒に深夜業務に従事する社員やその直属上司などにしておくとよいでしょう。
二人勤務の場合に両名を補助者に指定しておき相互に確認しあう、という確認方法でもOKとされています。

一緒に深夜勤務している人同士なら、社員の側としても恐縮しながら深夜に電話をする必要もありませんし助かりますね。
夜勤がある職場の場合は、夜間責任者を補助者に指定しておき一括して連絡を受けてもらうというのも良いと思います。

どうしても深夜に電話を受け取るのに適任な人が社内にいない場合は、他社へ業務委託でもよいと明記されています。
最近はアルコールチェックを専門にしている電話代行会社も多数あります。
とにかく誰かしらに連絡を受けてもらう体制を整えて、安全運転管理者の負担を軽減しましょう!

ごまかしさせない!安全運転管理者が補助者に依頼するときの対応策

一方で、安全運転管理者には確実な安全管理が求められています。
例えば二人で深夜勤務に従事している社員がお互いに確認を行うとなると、示し合わせて嘘をつかれてしまったら困りますよね。
二人で飲酒して二人揃って嘘をつく事態なんて考えたくないですが、ないとは言い切れません。

そういったごまかしを防ぐために、機械の力を使うのは非常に有効です。
例えばアルコールチェッカーで検知する様子を動画にとって残しておく、クラウド管理ができる高性能なアルコールチェッカーを利用して顔写真を残し、ごまかしができないようにしておくなど「ごまかせないようにして、補助者に責任をもって確認してもらう」という意味で確実性があり、ぜひ実践してほしい手法です。

当社取り扱いのアルコールマネージャー®は、測定結果だけでなく位置情報や日時、顔画像を取得し不正を防止するうえ、測定した結果・位置・日時・顔画像データ等は自動でクラウドへ送信されるのでごまかし不可能で安心してご利用頂けます。
精密な機械で不正できないとわかっていれば、「飲酒してもごまかしてしまえ、ばれなければ大丈夫」なんて気持ちはわかないのではないでしょうか。

当社のアルコールマネージャー®は数多くの企業・公的機関での取り扱い実績があり、1台をセンサーの校正を行いながら、長く使うことができ、トータルコストも安いのでおすすめです!
この機会にぜひ導入をご検討下さい。

また、万が一補助者が飲酒状況を確認した場合は、緊急事態として夜間でも安全運転管理者に速やかに連絡がいくように連絡体制を構築しておくことも重要です。
緊急時には安全運転管理者が指示を出す等、責任をもって飲酒運転根絶対策を実施する義務がありますよ。

アルマネ®クラウドでは、ユーザーアカウントは、何名様でも無料です。
副安全運転管理者や補助者のアカウントも無料で増やすことができます。

直行直帰の場合のアルコールチェックはどうする?リモートでの確認方法

社員が会社に立ち寄らず、直行直帰する場合のアルコールチェックはどうすればいいのでしょうか。

警視庁Q&A参考
Q2.直行直帰の場合にも安全運転管理者が対面で酒気帯びの有無を確認する必要がありますか?

≪酒気帯びの有無の確認の方法は対面が原則ですが、直行直帰の場合その他対面での確認が困難な場合にはこれに準ずる適宜の方法で実施すればよく、例えば、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させるなどした上で、
1)カメラ、モニター等によって、安全運転管理者が運転者の顔色、応答の声の調子等とともに、アルコール検知器による測定結果を確認する方法
2)携帯電話、業務無線その他の運転者と直接対話できる方法によって、安全運転管理者が運転者の応答の声の調子等を確認するとともに、アルコール検知器による測定結果を報告させる方法等の対面による確認と同視できるような方法が含まれます≫
と記載されています。

対面での確認が困難な場合の確認方法

先述したとおり、アルコールチェック義務化の根幹部分は「人対人」の確認。
そのためLINE等でのカメラ通話や携帯電話での通話などを利用して、運転者と直接会話をすることが必要です。
つまり「直接対話をして最低限相手の声の調子を確認してほしい、その上でアルコールチェッカーによる測定結果を報告させて下さい」という内容が記載されているのです。

機械まかせにせずに対話をすることが重視されているのがよくわかりますね。
直行直帰時も電話などの方法で直接会話しなければいけないという点からみても、事前の運行管理で終了予定時刻をある程度把握しておく必要があるでしょう。
終了予定時刻に安全運転管理者が連絡を受けられそうにない場合は、先述したとおり補助者を指定して負担を軽減して下さい。

アルコールチェックをしない場合の罰則はある?

安全運転管理者がアルコールチェックをしない場合の罰則規定は、いまのところありません。
ただ冒頭で記述したとおり道路交通法は生きている法律といわれるほど改定が多いので、今後罰則が追加される可能性は大いにあります。

今後罰則の強化が予想される

また、安全運転管理者による安全運転管理が適切に行われていないと判断された場合、「解任命令」がくだります。
解任命令があった場合は速やかに別の適任者を指定して安全運転管理の適正化を図らなければならず、安全運転管理者を選任しない場合は50万円以下の罰金になります。
(この安全運転管理者の選任義務違反に対する罰則は、令和4年の道路交通法の改正により、5万円以下の罰金であったものが、50万円以下の罰金に引き上げられました。)

また現代社会において、企業のコンプライアンス(法令順守)は信用の命綱といえます。
コンプライアンスの精神がない会社と取引をしたい人はいないでしょう。
もしアルコールチェックをせずに社員が飲酒運転で事故を起こしたらどうなるか…。
簡単に想像できると思います。
罰則がないからといってアルコールチェックを怠っていれば、安全運転管理者が会社の信用を地に落とすことになりますよ。
飲酒運転撲滅のためにあらゆる企業努力をすることが、企業の信頼を上げる結果につながるでしょう。

安全運転管理者の責任は大きい!アルコールチェッカーを利用して確実な飲酒確認を

安全運転管理者が一人で負担を抱える必要はないと記述してきましたが、安全運転管理者に求められる責任が大きいものであることは変わりません。
安全運転管理者によるアルコールチェックが義務化された以上、企業の信頼を獲得するためにアルコールチェッカーを利用した確実な飲酒確認が求められているのですから。

飲酒運転をする人間はごく一部。大半の社員は安全運転に努めていると理解したうえで、それでもなお社内に交通安全を浸透させるため、安全運転管理者の皆様は日夜努力されていることと推察致します。
筆者は警察官時代にたくさんの問い合わせを受けながら、安全運転管理者様の努力に感服していました。
正直警察官でも理解が難しい法改正を必死に受け入れようとする姿、頼もしい限りです。
当社取り扱いのアルコールマネージャー®を安全運転管理者の皆様の頼もしい相棒にして頂ければと思います。

このコラムが安全運転管理者の皆様の疑問を少しでも解決できたら嬉しいです。
今回書ききれなかった質問は次回以降またコラムにしていければと考えていますので、次のコラムもぜひご覧くださいね。

さぁ今から、「手軽にアルコールチェックの自動化」始めましょう。